☆コードC☆
“キーンコーンカーンコーン。”
チャイムが鳴る。私の胸はまだ興奮状態が続いていた。
「…………。」
ポーっとする頭をどうやったら起こせるんだろう?
まあ、このままでもいいかなあ……。
「何?ぽけっとした顔しちゃって!!起きろ!!」
せっかくのポワポワ気分を台無しにする悪魔の声。
「乃(ナミ)。やめてよ~……。」
「何、その顔は~?部活追いてっちゃうよ?」
「今のスッごく意地悪……。」
ふてくされて顔を背ける。何かもうスッキリしちゃってつまらない。
何かもう一つぐらい無いのかな?さっきのポワポワした事……。
あ、またぽけっとなりそう。止めとこ。
「よし、いこっかぁ……。」
ギターを家に置いてきた私は、楽器貸出票を握り締めて乃の後を付いて行った。
ドキドキはさっきよりずっと減った。だけど、まだ何かあるって信じてた。
「楽器借ります。」
「は~い、勝手に持って行っちゃって。返しとく時は返却票ね?」
「あ、分かりました。」
「頑張ってね?」
「有難うございました。」
事務室のおばちゃんは優しい。何だかお母さんみたいで安心できる。
そういう人が一人でも居てくれるのは心強いな……。
「乃、お待たせ。ギターピックある?」
「あ、あたしの貸したげる。」
「うん、ありがとう。」
皆支えあってるから、一つの音楽が生まれる。
皆支えあったから、大物ってのが出てくる。
皆支えあったから、今の私が、ここにいる。
大丈夫、ちゃんと分かってるよ。