☆コードC☆
「……もしもし。お母さん?今日は、友達のうちに泊まることにしました。明日の朝帰ってくるから、心配しないでね。じゃあ。」
“プープープー……。”
留守電にはそう入れたけど、
友達のうちなんかに泊まらない。
そんな当てがない。
だから、今日は街をぶらつくことにした。
田舎だけど、唯一ある街。
女子高生達の行きかう憩いの場。
「…………。」
“パァーーーー!!”
車が通るたびに風が起きて髪が揺れる。
吐き気を甦らす隣町からの光化学スモック。
この街は、アタシにとって灰色でしかない。
“ジャンジャンジャンジャン……。”
ギターの音が聞こえてくる。
懐かしく感じる音。
もう遠い世界。
でも、凄く近い領域。
不思議な気分だった。
「わ~、あれって超有名ストミューのAKIRAじゃない?ほら、時々テレビ出てんじゃん!知らない?」
女子高生達が次々と群がっていく。
街の隅にある小さな手作りブース。
プロとは思えないこの感じ。
懐かしさはここからだ。
「有難うございました~!」
終わったのかな?
人が引いて行く。
見えなかったその人の顔が、一瞬だけ見えた。
綺麗な顔立ちに背の高い好ルックス。
皆が群がっていたのが分かる気がする。
ギターは、アコースティック。
私と、同じモデルのものだった。
「…………AKIRA。」