☆コードC☆


“カランカラン……。”

公園に捨てられた缶を蹴ってしまう。
よくあるアクシデント。
そんなに大げさなものでもないか。

「A……。」

イニシャルはAなのか。
それともメーカー名か。
持ち主に帰る事はなさそうだ。

「寂しいね、お互い。」

スティックをくるくると回す。

「でもさ、捨てられて、会って。アンタだったら何をする?捨てられた分際で、何も出来ないって思った。私は今だってそう思う。」

ベンチに座って空を見上げる。
街の所為か空に星は見えない。

「孤独だね。虚しい。」

大欠伸をして体育座り。
スティックのAの文字を優しくなぞる。
AKIRA?
AYA。
AKANE
AYUMI
ANDOU
ANZAI
AIZAWA
選択肢がありすぎる。
でも、拾われたスティック。
使わないけど、存在できる。
それを認めてもらえる。

私も、そんな物になりたい。
捨てられても拾ってもらえるような、
必要とされる存在……。


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