純白の君に、ほんのすこしのノスタルジアを。
俺はただ一度、深く頷いてみせる。
父さんは小さな笑みを俺に返して、今度はためらいなく、その大きな手で、妹を抱きしめた。
ゲストの反応はバラバラだった。
事情を知らない者はただぽかんとして成り行きを見守り、事情を知る近しい友人たちはもらい泣き。
事情を知らなくても、なんだかよくわからないままもらい泣きしているやつもいた。
母さんはただ静かに涙を流していた。
花婿は眩しげに微笑んでいたが、俺の視線に気づいてこっちを見た。
俺が「グッジョブ」の意を込めて親指を立ててみせると、花婿は照れたように笑った。
こいつとは気が合いそうだ。
俺は――ただ、笑っていた。
嬉しかったんだ。
父さんの、妹の、そしてたぶん母さんの、みんなの背を、俺はきっと押してやれたんだと思う。
今を変えるための一歩を、踏み出すための力になれたんだと思う。
そして、届けてやれたんだと思う。
誰よりも素直じゃない妹へ。
これから幸せになる君へ。
大きな贈り物と、ほんのすこしのノスタルジアを。