不要なモノは愛
バカにされている? 言われていることがまともではないように思えるけど、ただ単にからかわれているだけ?


「では、スイッチを入れます!」


松野兄の発言は真に受けないほうがいいのかと思ったとき、ここにいるみんなが待ち望んでいる瞬間がやって来た。

床に1本の青い線が光り、その線がクリスマスツリーに伸びてきて、下から白と赤のライトがつき、一気に一番上の星まで点灯された。

幻想的な雰囲気に包まれる。


「うわー、すごい!きれい!」


あまりにも素敵で、周りの歓声に負けないくらいの大きな声が出てしまった。


「うん。きれいだね」


ギュッ…


爽やかな声で囁かれ、後ろから優しく抱き締められた。私の手の横にあった手が気付かないうちにお腹辺りに来ていた。

これでは、電車に乗っている状態を想像するのはもう不可能だ。電車で知らない人に抱き締められたら、チカン行為になってしまうではないか。
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