不要なモノは愛
早々と買い物カゴを持って、店内に入る松野兄を追いかけた。


「何作る?」


野菜売り場で立ち止まって、私の方へ振り向く。


「作るって?」


「何が食べたい?一緒に作るから」


「一緒に作る?」


「もちろん、作った後は一緒に食べるよ」


家に送ってもらって、さようならをするのではなかったのか…秋絵を呼ぼうとする計画は中止しなければならないかも。

私の気持ちを分かっていない松野兄は、トマトのへたを見ながら、良いものを選んでいた。

カゴの中に野菜が増えていく。


「何を作るんですか?」


「とりあえず、サラダは必要だろ?メインはどうするかな…」


私からの返事を聞かないで、メニューを考えているらしい。答えない私が悪いのだろうけど。

でも、野菜の量が多い。これでサラダ?どんなサラダに?


「寒いしなー。やっぱり鍋をつつくか…一人だと鍋はしないし」


「あ。私も一人だとしない」


「だろ?じゃ、決定だな」
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