不要なモノは愛
「あの…」


「小夏と一緒にやりたいんだよ。隣にいたいだけだから、気にしないで。ほら、野菜を洗って。俺が切るから」


何度断ってもここから離れようとしなそうだったから、これ以上拒否するのはやめて、洗った野菜を隣へと流す。

軽快な音が隣から聞こえてきて、切るのを楽しんでいるのが伝わってくる。


「ネギは斜めに切るんでいいよな?」


「はい。切ったのをお皿にうつしますね」


一緒にキッチンに立つのはこの前も思ったけど、意外と楽しい。一人でやるよりも楽しい。

家に一人でいるより誰かがいたほうが空気が和むのも分かる。

私は寂しがり屋だ。

だから、家族が欲しくなった。子供が欲しくなった。でも、子供以外の家族がいてもいいかもしれない。

例えば…旦那さんとか?

松野兄は強引だけど、優しいところもある。彼と暮らしたら?

いつも一緒に料理をして、一緒に食べるのかな。
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