不要なモノは愛
用意した肉と野菜が次から次へと私たちの胃袋に移動していく。

胃袋が満たされると同時に心の中も満たされていくのを感じた。

秋絵や一樹との食事も楽しく心まで満たされていたけど、何かが違うと感じる。同じ時を過ごすということに、満足感だけでなく幸福感もが得られたように思えた。


「やっぱりさ、一人で食べるよりも誰かと食べるほうがいいと思わない?」


「うん、思う」


「だろ?俺は小夏が好きだから、小夏と食べれることがほんと嬉しいよ」


嫌いな人と食べるよりは好きな人と食べるほうがいい。

私だって、そのくらいは分かる。

松野兄のことは嫌いだと思っていたけど、今日一日一緒にいて、嫌だとは一度も思わなかった。嫌じゃないから好き?

恋に近いと思ったけど、これが恋になるのかは分からない。

そもそも、恋ってなに?

好きってどういうこと?

お肉が好きとかケーキが好きとかそういうモノとは違うとも思うけど。

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