不要なモノは愛
「やっぱり今日は帰るよ」


「え?何で…でも、お酒飲んでいるし…」


片付けを終えて、お風呂の準備をしようとした時、真面目な顔をした松野兄が言う。

今夜は帰らないと言うから、飲んだのに帰ると言うなんて…車はどうするのだろう。


「今日は理性を保てる自信がないから帰るよ。車は明日取りに来るから今日は電車で帰る」


「理性を保てる自信がない?」


どういう意味か分からなくて、首を傾げる。確かにまだ電車は動いている時間だけど、なぜ泊まることをやめたのか分からない。

私、なにかをしてしまった?

それで、一緒にいたくなくなって帰るというの?

好きと言ったのがいけなかったの?


「小夏がかわいいからきっとキスだけでは止められない。もっと欲しくなる」


「もっと欲しくなる?何を?」


「とにかく今日は帰るよ。明日の朝、車を取りに来るから寄ってもいい?」


「うん。別に構わないけど」
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