不要なモノは愛
愛がなくてもセックスは出来るだろうけど、ないよりあったほうがいいのかもしれない。

それは経験がない私でも分かることだ。


「好きな人との子供…」


「そうよ。想像してごらんなさいよ!絶対幸せな姿が思い浮かぶから」


私がいて、松野兄がいて、子供がいる。

子供を抱いて、愛しそうに微笑む松野兄の顔が想像できた。

私に縁がなかった家族の姿だけど、悪くはない。

そこに幸せがあるだろうか。

あったら、いいな。


「小夏、ものすごくいい顔しているよ。おばさんが亡くなってからの小夏はいつもどことなく寂しそうで、気が張っている感じで…がんばっていたよね。肩の力を抜いて、心から誰かに甘えてもいいんじゃないの?」


「甘える?」


母が亡くなって一人になってしまったけど、やっぱり一人で生きるのは寂しいなと思い、秋絵や一樹に甘えてきたつもりだった。


「そうよ。私や高宮に頼ってはいたけど、心から甘えていなかったでしょ?遠慮している部分もあったと思うよ」
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