不要なモノは愛
遠慮なく甘えていたつもりだった。でも、悪いなという気持ちもあって「ごめんね」と謝ることが多かったのは事実。

それが遠慮というのならそうかもしれない。

でも、松野兄に甘えたことはない。だから、甘えられるかどうかは疑問だ。


「甘えられるかな…」


そもそも、何をどう甘えるのか?

松野兄に甘えたところで彼は受け止めてくれるのだろうか?


「素直になればいいのよ。小夏のやりたいことを言えばいいの。どんな我が儘だって聞いてくれるはずよ。松野さん、かなり小夏が好きだしね」


「え?かなり?」


「弟の聖斗くんにも、後輩の高宮にも譲る気はないし、敵意を剥き出しにしていたじゃないのよ」


言われてみれば何かと反発をしているというか、かなり不機嫌になって、怒っていたようだった。

自分の思い通りにならないと機嫌が悪くなるなんて、子供みたい。


「意外にも不器用で奥手なのね」


「奥手?そんなことない。だって、キスしてきたんだよ」


あんな強引なキスをしてきたのに、奥手なはずはない。

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