不要なモノは愛
「そんな寂しそうな顔するなよ。だから、早くに来たんだよ。着替えてくる?そのままでもいいけど」


「うん。急いで着替えるから待ってて」


超特急でザックリとしたニットにスキニーパンツに着替えてきた私を松野兄が「すごい早い」と大きな口を開けて笑う。


「松野さん、そんなに笑わないで」


笑われたことが恥ずかしくて、思わず口を尖らせてしまう。


「怒るなよ。こっちにおいで」


呼ばれて素直に隣に座ると、ぐいっと引き寄せられて、唇を重ねられる。

朝からキス?

思いがけない行動に私はされるままだった。口の中にコーヒーの味が広がる。

なるほど、朝のキスはコーヒーの味だ。

呑気に味わっている暇がないくらい口の中はかき回され、息が上がってきた。それに、いつの間にか押し倒されている…。

気付けば松野兄の唇は私の首筋にあって、なんかくすぐったい。

まさか…キスからセックスへと?

朝からセックス?

ドラマとかで見たことある体勢にその続きを想像した。待って…心の準備が出来てない。
< 144 / 158 >

この作品をシェア

pagetop