不要なモノは愛
今まで私はセックスは子供を作るための行為と考えていた。だから、子供を手に入れるためにするものだと思っていた。

でも、一般的に私のように考える人はそれほど多くはないようだ。私も今になって、考えが間違っていたことに気付く。愛がないセックスをしても無意味なんだと。

そこに愛があるから、相手を求めて、キスをして抱き合う。冬悟さんは好きだから、求めてきた。私も好きだから、求められるのを嫌だとは思わないで、受け止める。

ただ恥ずかしくて、どうしたらいいのか分からなくて混乱しただけだ。

本当にどうしたらいいのだろう。


「ああ、まずい。時間がない。もっと小夏と一緒にいたいんだけど、埼玉の支店まで行かなくちゃならないから。ごめん、行くね」


「あ、ううん。気を付けて行ってください」


「うん、ありがと。…チュ」


私の前髪を素早くあげて、出たおでこにキスをしてから、出ていった。

私はそれからしばらくぼんやりと洗おうと思っていたカーテンを眺めていた。
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