不要なモノは愛
かけがえのないモノ
クリスマスが10日後に迫ったある日の夜、家のチャイムが鳴った。

今週は1度も見ていない顔で何だか懐かしいような感じで、嬉しくなった。

年末に近付くにつれて、仕事が忙しいのはお互いさまで、付き合うと決めたにもかかわらず、デートどころか1度も会っていなかった。

今日も仕事帰りに来たのだろう。スーツ姿だし、時間は10時近かった。


「あがります?」


遅い時間だけど、無下に返すことは出来なかったし、短い時間だとしても一緒にいたいと思った。


「いや、すぐ帰る。明日、朝早いから」


「そうなの?じゃあ…なんで来たの?」


「小夏の顔が見たかったから。ごめんな、寂しい思いをさせちゃって」


確かに寂しかった。一人でいることに慣れてきているのに、会えないことが寂しかった。


「うん。でも、大丈夫だよ。私も帰るのが遅いし。それに、毎日電話くれるから」


「それは、俺が声を聞きたいからだよ。小夏…」


「キャッ…ん…」
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