不要なモノは愛
私が勤める会社には制服がない。たまにそれはオフィススタイルじゃないでしょ?と思われる服装で出勤してくる後輩はいるけど、そうなりたくはない。

困ったな。

着替えるかな。


何度も何度も悩みながら、迎えたクリスマスイブの朝。

私はいつものカバンの他にもう1つ大きめのトートバッグを持った。中身は服である。パンプスも入っている。

オフィス用の黒のパンプスでは色気もない…と秋絵に言われた。それと、次の日に着る服も持っていけと言われた。


「なんで次の日の服までいるの?」

「イブの夜よ。何が起こるか分からないし、小夏だって朝まで一緒にいたいでしょ?」


そんなことを言われ、秋絵に言われるまま2日分の服を詰め込んだから、トートバッグは膨らんでいる。


こんなにも仕事に集中出来なかったのは初めてだ。ミスがなかったのが、せめてもの救いだったけど。

仕事帰りのデートを楽しみにしていた同僚の気持ちがやっと分かった。人並みに自分が恋愛を出来るとは思っていなかったから、一生無縁な気持ちで理解できないと思っていた。


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