不要なモノは愛
しかし、どうしたらいいか分からなく持ったままで、冬悟さんに会う。


「お疲れさま。随分、大きいの持ってるね」


「あ、うん。あの、会社で着替えたので…」


さすがに明日の着替えまで入っているとは言えない。


「そうか。女の人は大変だよね。俺が持つよ、貸して」


「あ、ありがとう」


自分もビジネスカバンを持っているのに私の分も同じ左手で持ち、空いている右手は私の左手を握った。さりげなく手を繋ぐことに胸が高鳴る。


「えっと、どこに行くの?」


「うん。とりあえず荷物を置きに行こう」


駅前に行き、タクシーに10分乗った。


「はい。降りて」


「ここ?」


「ギリギリだったけど、キャンセルがあって予約取れたよ。今夜はずっと小夏と一緒にいたいからね」


タクシーが到着したところはホテルだった。冬悟さんはフロントに行き、荷物を預けてくる。

一緒にいたいという気持ちが同じで嬉しかったけど、同時に初めて夜を一緒に過ごすことに恥ずかしくもなった。
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