不要なモノは愛
セックスをして、子供を作ることを望んでいたのにいざそういう場にくると恥ずかしくなるなんて変だけど、心臓はドキドキしている。


「じゃあ、レストランに行こうか。本当は上の階のレストランが取れたらよかったのだけど、空いてなくて1階のレストランなんだけど」


「ううん、どこでもいい」


「クスッ。良かった」


クリスマスムード満点のレストランで、案内されたテーブルに座った途端、庭にあるクリスマスツリーに目が奪われた。


「わあ、きれい」


「うん、きれいだね」


「クリスマスコースでいい?」


私が頷くとすぐにグラスとシャンパンが運ばれてきた。

思い起こせば物心がついてからずっとクリスマスは一樹の家だった。それ以外の場所で食べるのは初めてで、こんな素敵なところで食べられることに私は素直に感動した。

軽くグラスを重ねて乾杯をして、一口飲む。たった一口でも体が熱くなる感じがした。


「そういえば、高宮も今夜はデートだと言ってたよ」


「そうなの?」


今年は高宮家のクリスマスパーティに参加出来ないと話をしたときは、そんなことを言っていなかった。
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