不要なモノは愛
食事を終えて、予約してくれた部屋に行く。


「小夏、見て。きれいだよ」


窓から見る夜景は本当にきれいだった。


「きれい」


「小夏。こっち向いて」


「はい…んっ!…」


キスをされる。なかなか離れない濃厚なキスだ。

今日はちゃんと心の準備もしてきた。秋絵にアドバイスしてもらった。

「すべて松野さんに任せればいいのよ。小夏は与えられるモノを受け止めればいいの」と言われた。

あちこちにキスを与えられる。与えられた箇所が熱を帯びていく。冬悟さんの手が恥ずかしい場所にも触れてきて、全身が熱くなる。


「小夏、好きだよ」

「小夏、かわいい」

「俺を感じて」


与えられる愛の言葉に体が震え、心がとろける。

初めての行為に必死で応えたけど、穏やかな気持ちになっていた。

ただ子供を作るための行為ではない。愛を確認するための行為だ。

愛されること、愛することを幸せに感じる。
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