不要なモノは愛
一樹は、また大きな溜め息を吐いた。


「小夏…わざと言ってるの。さっきずっと小夏が好きだったって、言っただろ?」


「あ、言ってたね。うん、ちゃんと聞いたよ。え…じゃあ、彼女が言ってた他の女って…」


「そう、小夏だよ」


いつのまにか私の隣に移動していた一樹が肩を掴んできた。

何だろう。何をするつもりだろう。

気の置けない友だちだけど、一応男だ。警戒する必要がある?


「寂しいなら、俺がずっとそばにいてやる。子供が欲しいなら、俺の子供を作ればいい。小夏の願いは何でも叶えてやるよ」


今までにない強い告白で私の心にまたズンときた。この正体不明な感覚は何を意味するのだろう。今度、秋絵に聞いてみよう。

だから、一樹への返事は保留にさせてもらおう。ずるいかもしれないけど、いつもよりちゃんと考えるから。


「一樹、考えさせてくれる?」


「もちろん。気がすむまで考えていいよ」


テーブルの上の食器を片付けて、ロールケーキを切り分けた。
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