不要なモノは愛
「あたしね、母が亡くなって寂しいの。だから…」


欲しい理由を真剣に語った。私は、ふざけてなんかいない。寂しさから脱出するために必死だ。とにかく出来るだけ早くに子供が欲しい。


「それ、本気ですか?」


「本気だってば」


こんなに真剣に熱く話したと言うのに、春海くんには伝わらなかったらしい。結局、誰にも理解されない。

私が求めているものは手に入らないのかもしれない。寂しさから逃れることは、無理なのかな。


「でも、そんな奇特なヤツがいるかは分からないけど、俺の周りにいる顔がいいヤツに話してみますよ。イケメンっていうのも条件なんですよね?」


「うん。自分の容姿を棚にあげて、イケメンがいいなんて図々しいと思うけど、出来るだけ良いモノを選びたいから、よろしくね」


信じられない条件だと言いながらも協力してくれようとする春海くんは、本当にいい子だ。春海くんのおかげで落ち込みかけていた心が上向きになった。
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