不要なモノは愛
でも、かっこいいけど、少し冷たい印象も受ける。こういう人は、どんな顔で笑うのだろう。

一樹と同じ会社の人かな。

私の視線の先に気付いた一樹もその人を見た。


「あ、こちらは松野冬悟(まつのとうご)さん。同じ会社の先輩なんだ」


「どうも。松野冬悟です」


「はじめまして。深見小夏です」


先輩なら、年上かな。松野さんは思ったよりも爽やかな声だった。でも、表情は変わらない。笑わない人?


「小夏は幼馴染みなんです」


「幼馴染み?あー、例の?へー。それは、それは…」


無表情だった顔が崩れた。私が一樹の幼馴染みだから?

どうしてそこで反応するのか分からない。

それに、それは、それは…と言い淀んだ感じが気になる。

それに、それに、突然私を上から下までじっくりと見てきて…何なの、この人…。


「あの。なにか?」


「いや、別に…」


別にだけで、上から下まで見るものなのだろうか。私も上から下まで見たけど、見られるのは気分がよくない。
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