不要なモノは愛

「アルコールは大丈夫？」


「はい」


一樹と渋々別れて、松野さんに連れられてカジュアルなイタリアンレストランにやって来た。

松野さんが選んだグラスワインがディナーセットのサラダと共に運ばれてきて、グラスを手に持つ。

さっきのやり取りで、かなり喉が渇いていたけど、ワインを一気飲みしては、悪酔いしてしまう。ワインの入ったグラスを置いて、横にある水の入ったグラスに持ち代えた。


「高宮から聞いたんだけど、子供が欲しいんだって？」


水を半分ほど飲んで、フォークを持ち、松野さんを見た。ワイングラスを手にしたままの松野さんと目が合う。

「フッ」とどことなくバカにされたような笑い声が微かに聞こえて、ムッとする。


「そうですけど、それがなにか？」


この人には関係のない話だ。一樹が話したのかもしれないけど、この人に叶えてもらうつもりはない。一応ここまで付いてきたけど、申し出は断る予定だ。


「俺が提供してやるよ。愛がなくてもいいと思うから」


「え？」