不要なモノは愛
「ああ、そうだ。小夏さん、まだ相手を募集中ですか?」


新しいジョッキを秋絵の前に置きながら、私に話しかけてきて、秋絵の顔が歪むのが見えた。

春海くん…ちゃんと秋絵の顔を見て渡してあげてよ…。

でも、春海くんにお願い事をしていたのは私だ。秋絵の視線が怖いけど…。


「あ、うん。まだ決まってなくて。もしかして、誰かに聞いてくれた?」


一樹と松野さんにイエスと言えないのは、もっと違う相手がいるのではないかと期待しているからかもしれない。

一樹と松野さんも条件はクリアしているけれど、要らないモノまでついてくるのが、躊躇してしまう要因だ。だから、春海くんに期待の眼差しを向けた。

どんな人だろう。


「大学の先輩ですけど、今はもう卒業していて、社会人です。サークルの飲み会に来ていて、ちょっと話してみたら、興味を持って、会ってみたいって」


「私も会ってみたい」


どんな人か見てみないと分からない。


「へー、そんな奇特な人もいるのね。ねえ、イケメン?」
< 57 / 158 >

この作品をシェア

pagetop