不要なモノは愛
春海くんにベタ惚れの秋絵が珍しく拗ねる図だ。こんな秋絵が見れるのは貴重だから、春海くんにも見せてあげたい。拗ねる姿は、ある意味かわいいから。

奥に消えてまだ戻らない。残念だな。

園子さんが秋絵の空いたジョッキに気付く。


「秋絵ちゃん、もう1杯飲む?」


「はい。あ、もう、じゃあ、日本酒を冷やでください」


「えー、秋絵ったら、大丈夫?」


「大丈夫よ!酔い潰れて、運んでもらうから!」


今夜は酔い潰れて運ばせる作戦らしい。しかし、避けている春海くんが運んでくれるか不安だ。最悪、私が運ぶはめになる…。

うちに泊まる予定だから良いけど、酔っぱらいの相手をするのは、気が進まない。せめて機嫌良く酔って欲しい。


「はい、どうぞー」


「小夏さん、あと30分後に来るそうです」


戻ってきた春海くんは、横目でチラッと秋絵の前にある日本酒のグラスを見てから、私に伝えた。そのグラスを見ても何も感じないのかな。


「うん、ありがとう。どんな人が来るのか楽しみー」
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