不要なモノは愛
「否定しないということは、松野さんなんだね。何で、キスされているの?」


「え?何でって…分からないよ。勝手に文句言いに来て、勝手にしていった。ほんと、どういう意味だか全然分からない」


何がなんだか分からないし、感情が読めない顔だったから、お手上げ状態。ただ腹が立つだけだ。

弟の聖斗くんは、終始穏やかな表情をしていて、笑う顔は本当に癒された。血の繋がった兄弟なのに、なんて対照的な二人なのだろう。

優しい笑顔と癒しのオーラを思い出すとやっぱり手放したくなくなる。聖斗くんのような人は、簡単には見つからない。聖斗くんのような子供が欲しい。

今まで24年、生きてきたけど、聖斗くんのような人には出会ったことがない。松野兄のような勝手な人にも出会ったことがないけど。


「松野さん、そんなにも弟に渡したくないんだ。意外にも本気なのかな。でも、俺だって、本気だったよ。友だちというポジションから動けなかったけど、マジな気持ちだった」
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