不要なモノは愛
松野兄の勝手な言動と行動になぜか秋絵が同意して、聖斗くんまでもが動いた。

ちょっと待ってよー!というなんて、私の心の叫びは誰にも届かず…。前菜から順にフルコースが運ばれてきて、私以外の3人は「美味しいね」と和やかに食事をする。

私だけが黙々と食べていた。


聖斗くんは「保留ですね。でも、いつでも連絡ください」といつもの優しい笑顔で頭を下げて、帰っていった。


「私、このあと、春海くんと約束してるの」と満面な笑顔で秋絵は手を振って、帰っていく。いつの間に、春海くんと約束したのだろう。

あとで聞かないと…。


「ほら、帰るぞ」


二人に置いていかれてしまった私は、呆然と後姿を見ていた。そんな私の手首を松野兄が掴む。


「一人で帰ります」


掴まれた手首を離して、足早に歩く。


「待てよ」と肩を掴まれたけど、それも振り払って、通りかかったタクシーに乗った。松野兄が小さく見えていくのを確認して、座席に深く座る。


最悪だ。どうしたらいいのよ…。
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