貴方の隣
「僕、滝本優乃介って言います。」

「わっ…私は昌山彩香って言います…」

自己紹介したところでここでさようならってしたらきっと会えなくなるのになにしてんだろう。それに、私の中に
滝本さんと離れたくない気持ちがある。なにやってんだか。

「あの、私友達と会う約束してて…」

「すみません!急いでたのに…栞渡せてよかったです」

「はい、ありがとうございました」

「僕もやっぱりバイト遅刻しても行きます(笑)」

「頑張ってくださいね、応援してます」

「ありがとうございます!!なんか、やる気出てきました!」

「それじゃあ…さようなら」

「…さようなら」

そう言って私たちはお互いに別れた。

私がさようならって言った瞬間滝本さんが悲しそうな表情をしたように見えたなんていうのはきっとただの幻覚に

過ぎない。





「ごめん!お待たせ!!」

「もーいっつも5分前には必ず待ち合わせ場所についてる彩香が今日は5分遅刻って、何かあったわけ?」

「いやあー別に大したことはないんだけどねあとで話すよ」

「うん、ところでどこ行く?」

「あー…なんか食べない?お腹すいちゃった」

「そうだね、私近くにあるすっごく美味しいお店最近見つけたの!そこ行かない?」

「うん」

この子は石原琴音。私と同じ大学に通っていて、中学からの友達。お互い家族みたいな感じでいるから琴音といる
とすごくリラックスできる。



「到着!」

「琴音、あんた近くにあるって言ったくせに電車で3駅も乗ったじゃない」

「まあまあ、そんなこと言わないで早く入ろ!」

「はいはい」

琴音は大雑把で、すぐの定義が1時間だったりする。

「いらっしゃいませ、何名様ですか?」

「2人です」

「かしこまりました、こちらへどうぞ」


< 2 / 4 >

この作品をシェア

pagetop