欲しがりなくちびる
「だから、いいって言ってるじゃないですか。朔さんのこと、実は大学時代にも聞かされていたんです。幼稚園の頃にまで遡る、それはまぁ長い初恋話を延々と真面目に話すんですよ、あの人。そのときはまだ友達だったから、そんなふうに一途に思われる女性は幸せだなって羨ましくも思っていたんですけど、恋人になってからは朔さんの存在は目障りなだけだし、始めから自分は一番にはなれないって分かっていてこっちも付き合う訳だから、どうしてもひねくれちゃいますよね。それに、実際にそんなに想われるのもここまでくるとホラーというか、朔さんだから受け留められるんであって、他の女子ならいい加減逃げ出してもおかしくないですよ」
可愛らしい顔に似合わず言葉がきつい結子だが、いっそ清々しいくらいで、よくよく聞いていると朔と浩輔二人を鬱陶しいカップルだと言っているようなものだが、朔はそれにクスクス笑う。
「相変わらずよくしゃべる子だなって思ったけど、浩輔があまりにも私が知っている彼とかけ離れているから、想像しながら聞いていたらおかしくなっちゃって。だって、浩輔なんて昔から私といるとき、こんな顔ばかりしていたんだよ」
朔はそう言うと、両方の人差し指をそれぞれ目尻に持っていき、耳の方へと引っ張る。結子はそれに吹き出すように笑って、自分も同じようにしてみせる。
可愛らしい顔に似合わず言葉がきつい結子だが、いっそ清々しいくらいで、よくよく聞いていると朔と浩輔二人を鬱陶しいカップルだと言っているようなものだが、朔はそれにクスクス笑う。
「相変わらずよくしゃべる子だなって思ったけど、浩輔があまりにも私が知っている彼とかけ離れているから、想像しながら聞いていたらおかしくなっちゃって。だって、浩輔なんて昔から私といるとき、こんな顔ばかりしていたんだよ」
朔はそう言うと、両方の人差し指をそれぞれ目尻に持っていき、耳の方へと引っ張る。結子はそれに吹き出すように笑って、自分も同じようにしてみせる。