世界の片隅で生きている
「 美味しくご飯が食べれて、健康で、それなりな恋をして、太らず細すぎずな体型を維持して、あとは、」
「 そういうの、贅沢って知ってる? 」
「 うっそ、これのどこが贅沢なの? 」
飲んでいたビールを一気に飲み干し、目の前の友人を睨みつける。
「 平凡を望むことまで贅沢って言われちゃあさーもう何も望めないよー 」
空になったグラスをぐいと相手に差し出す。
お代わりの合図、をしたつもりだったけど。
「 すいませーん、お水一つとジンジャーハイボールください 」
「 ちょっとちょっと。わたしジンジャーハイボールなんて飲めないよ 」
「 わたしのだもん 」
「 わたしのビールは? 」
「 べろんべろんの癖に。終電では帰るからね。シャキっとしてよ 」
差し出された水は、氷が入っててとても冷たい。
火照った頬っぺたに当てると丁度いい。