ビターチョコレート。
「お、お前俺の指...」
「一本ずつ落としてやりたかったんだが、
女がいるから少しは配慮しようと思ってさ」
「あ、あ.....」
と言いつつ、女の方に視線を向ければ顔を真っ青にしながら声を失っている。
叫ばれないだけマシだ。
次に男の腹わたを抉ることにした。
「俺に目を付けられたからには、まともな死に方が出来ると思うなよ?」
手を抑えて蹲る男を足で蹴り仰向けにさせる。
男は、何をするつもりだというような困惑に満ちた目で俺を見ている。
「お前の腹わた引きずり出すだけだぜ?」
「ひいいいいいいい」
俺は手にしているナイフを男の腹に差し、そのまま裂く。
悲痛な叫びが聞こえるが俺には喜んでるようにしか聞こえない。
そしてその傷口に手を突っ込み、
恐らく消化器官であると思われるモノを引きずり出した。
「お前の臓器だぜ、これ...ってああ、死んでら」
ピクリとも動かない身体
真っ赤に染まった自分の手
まあいい、少しでも楽しいと思えただけいいか。
そして女の方に視線を向ければ顔が真っ青だ。
「なあアンタ名前は?」
「え、あ...シェリア」
名前を聞けば必死に絞り出したような弱々しい声が返ってきた。
「シェリア...とりあえずここから移動するか。
これの処理はまあアイツに言えばどうにでもなるし。」
手が赤黒く汚れていようが構わずナイフと一緒にポケットに突っ込んだ。
殺した時に着ていた服はいつも捨てるようにしている。
これは俺が初めて殺しをした時に言われたことだ。
「移動ってどこに...」
「んー、そういやお前なんでこんな時間にうろついてんだよ」
「あ、あの友達とはぐれて探してたんです」
「こんな時間にか?」
「友達の家に泊まるはずだったのに、いないから入れないし電話しても出ないし」
「...あんなもん見せちまったし、俺の家来るか?」
「え?」
「いや、別に変な気はない。一応人を殺したことに巻き込んだわけだし」
「いいんです。助けてって言ったの私ですし」
「...そうか。じゃあはぐれないように着いてきてくれ」
人を殺した場所に居合わせて、俺が殺す瞬間も見ていた。
それでもこいつは俺に着いてくる。
行く宛がない、助けてくれた。
それだけの理由で見ず知らずの俺についていくのか?
俺は彼女から少し距離を置いて歩き出した。
後ろからカツカツと彼女のヒールの音がする。
真夜中の静かな街中では十分な主張だった。