ひまわり
1 君についた嘘、あいつについた嘘
私はなぜここにいるんだろう。
ぽつんと周りが田んぼに囲まれた場所にたつ
そうだ「あいつ」から逃げてきたんだった。
いつまでたっても言葉を濁して
逃げてきたあいつ。
その心の隙間に入ってきた君に、奪われて逃げてきた
「どうしたの?寒い?」
優しい声がする。君はとても優しいんだ
「ううん、なんでもないよ」
心ここにあらずと言わんばかりにあたしは素っ気なく返した
それでも君は何も言わずにそっか、と手を握り締めてくる
これじゃない。
この手じゃない
この声じゃない
この笑顔じゃない
照れくさそうにへへへ、と笑う君に
なんとも言えない罪悪感を抱いた。
ここは神奈川の外れの田舎町
駅に行けば割と栄えているけれど
あたしの住んでいた東京とはかけ離れていた。