幼なじみの溺愛が危険すぎる。(後編)
「こんなところでなにしてるんすか?」


学ラン姿の颯大に声をかけると、驚いたように颯大が振り向いた。


「ああ、玲音くんか」



「……りりちゃんなら、今日は遅くなるって言ってたから、

しばらく帰ってこないと思います」




「そっか。じゃ、帰るよ」




「……いいんですか?」



あっさり帰ろうとした颯大を思わず引き止めた。




「ちょっとりり花の顔を見たくなっただけだから」



颯大にまっすぐに見据えられて、負けずに視線に力を込める。


すると、颯大が表情を緩めた。



「俺はさ、負け試合だってわかってても逃げたりしない。

ただ、これはちょっと違うのかもしれないな」




「なんのことですか?」




眉を寄せた俺に、颯大はおだやかな声で続けた。



「つまりさ、玲音くんにはかなわないってことだよ」



「は?」



「ちょっとだけ話せる?」



返事の代わりに軽く頷くと、

颯大と肩を並べてマンション裏の公園まで歩いた。

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