幼なじみの溺愛が危険すぎる。(後編)
「りり花はなんて答えたんですか?」


震える声を必死でおさえる。


あいつ、なに勝手に告られてんだよ。


なんで、俺になにも言わないんだよっ。


理不尽な苛立ちが抑えきれない。



「りり花、すごく困ってた。

ま、玲音くんが弟じゃないって聞いたときから、なんとなく分かってはいたんだけどさ。


この前も焼き肉屋の外でずっとりり花のこと待ってたんだろ?」



「……心配だったんで」



思わず本音を零した。



「俺はさ、ガキの頃から当たり前のようにりり花の隣にいて、

りり花に大切にされてる玲音くんがずっと羨ましかったよ」



「俺は……」



俺は、

"颯大は強い、颯大はすごい"って

りり花に尊敬されてる颯大がずっと羨ましかった。


りり花に想われてる颯大が羨ましかった。



りり花に男を近づけないようにすることはできても、


りり花の心のなかの颯大を追い出すことまではできなかった。



でも、ここでそれを口に出すことは絶対にできない。




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