幼なじみの溺愛が危険すぎる。(後編)
お昼休み、玲音が食べ終わったお弁当箱を沙耶ちゃんに渡している。
「沙耶ちゃん、これ"俺の"りりちゃんに渡しておいてくれる?」
「私、ここにいるけど?」
「ああ、ごめん、ごめん。可愛すぎて見えなかった♡」
「…………」
帰りのホームルームの時間になると、玲音が笑顔でやってきた。
「沙耶ちゃん、"うちの"りり花どこにいるか知ってる?」
「………目の前」
ドン引きしている沙耶ちゃんに玲音が笑顔を向ける。
「あ、ホントだ♡」
……………
……
「……ってか、ウザい、ウザ過ぎるっ!
いちいち私を呼ぶときに変な所有格つけないでっ!」
「だって嬉しくてさー♪」
「その暴走っぷりはいつまで続くの?」
呆れて訊ねると、玲音が無邪気に答えた。
「りりちゃんと形に残るものをつくるまで?」
「形に残るものってなに?」
「たとえて言えば子どもとか?
はっきり言えば子どもとか♡」
明るく笑う玲音に冷たい視線を向ける。
「そんなことしたら本当に退学になっちゃうでしょ?
どうして玲音ってそんなことしか考えられないの?」
「そりゃ、りりちゃんのことが好きだからに決まってるじゃん♪」
「はぁ…
やっぱりただの幼なじみに戻ろうか?」
「まだ付き合って31時間と20分しか経ってないのに?!」
「怖っ!なんでそんなの計算してるの?!」
「だって、念願かなってやっと"りりちゃんの彼氏です"って堂々と言えるようになったんだよ?
ついつい嬉しくてさ♡」
はぁ…
深いため息をついて
プイっと玲音から顔を背けると、
がしっと玲音に両手で頭をつかまれた。