幼なじみの溺愛が危険すぎる。(後編)
「だって一人暮らしだと危ないじゃない。

玲音くんと一緒に暮らしてくれれば、

りりちゃんになにかあったときにも玲音くんが気づいてくれるだろうし、

体調崩したときだってお互い助け合えるでしょ?」



荷物を確認しながら、平然と答えるお母さんにさらに声を尖らせる。




「だからって、なんで玲音と二人で暮らさなくちゃいけないの?!

玲音と2人で暮らすくらいなら一人暮らしがいいっ!」




「それがね、お隣の玲音くんの部屋、
1年間限定で借り手がつきそうなんですって。

だから、このままだと玲音くん、新しいマンションに引っ越すことになっちゃうのよ。

なんだかんだ言っても、りり花、玲音くんがいないとダメでしょ?」



「へー、そうなんだ♡」



嬉しそうに笑った玲音に拳を突き出す。



「んなはずないでしょっ!」



「なんにせよ、りり花が玲音くんと一緒に住んでくれたら、お母さんだって安心だもの」



「全く安心できないんだってば!!
ものすごく身の危険を感じるの!」


「むしろ身の危険を感じてるのは玲音くんじゃない?

いきなりかかと落としするような娘と2人暮らしさせるなんて、本当にごめんなさいね?」



申し訳なさそうに目を伏せたお母さんに、

サラサラと前髪を揺らしながら、これ以上はないほど爽やかな笑顔で玲音が微笑む。



「慣れてるんで全然大丈夫です」



そんなお母さんが目を細めて見つめている。



「玲音くんって器が大きいっていうか、本当に心が広いわよね」



そう言うお母さんに冷めた視線を送る。




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