眠れぬ夜をあなたと
エンドロールを目の前にあたり前のことを口にして、現実へ戻って来たケイと視線を合わせる。
「……ありがと、美湖さん。この映画ね、今、レンタルショップでもなかなかなくって。でも、どうせなら好みな奴でレポート出したいし」
「貸し出しても良いけど。何度か見たいんじゃない?」
「う~ん。でも、最初に流れ込んできた情報が一番鮮烈だから。それに、ここの方がテレビ大きいし」
ニッコリしながら、またここで見せてと根回しするケイのそつのなさに苦笑した。
「私んちを『個室ビデオボックス』代わりにしないでよ、ケイ君」
「俺ここで、いかがわしいの見たりしないよ? 美湖さんのお許しが出ない限り」
「そんなの、家に帰ってから見なさいよ。大画面とかありえないでしょ」
そんな話の途中に突然ケイが、あ、と言って、トートバックに手を伸ばす。話しの流れを考えたら、なにが出て来るのだろうと、私は不審な目を向けた。
「違うよ、そんなの持って来てないから。冷たい目で見ないでよ、美湖さん。コレ、あなたに」
ケイが手渡してくれたのは大きな平べったい紙袋だった。それは雑貨屋激戦区のなかにあるお店のもので、袋の脇には可愛らしいピンクのリボンまでくっついている。
「……ありがと、美湖さん。この映画ね、今、レンタルショップでもなかなかなくって。でも、どうせなら好みな奴でレポート出したいし」
「貸し出しても良いけど。何度か見たいんじゃない?」
「う~ん。でも、最初に流れ込んできた情報が一番鮮烈だから。それに、ここの方がテレビ大きいし」
ニッコリしながら、またここで見せてと根回しするケイのそつのなさに苦笑した。
「私んちを『個室ビデオボックス』代わりにしないでよ、ケイ君」
「俺ここで、いかがわしいの見たりしないよ? 美湖さんのお許しが出ない限り」
「そんなの、家に帰ってから見なさいよ。大画面とかありえないでしょ」
そんな話の途中に突然ケイが、あ、と言って、トートバックに手を伸ばす。話しの流れを考えたら、なにが出て来るのだろうと、私は不審な目を向けた。
「違うよ、そんなの持って来てないから。冷たい目で見ないでよ、美湖さん。コレ、あなたに」
ケイが手渡してくれたのは大きな平べったい紙袋だった。それは雑貨屋激戦区のなかにあるお店のもので、袋の脇には可愛らしいピンクのリボンまでくっついている。