眠れぬ夜をあなたと
先日の、いつものごとく眠れない深夜におこなったのは、リバーシ勝負だった。
真剣勝負には真剣に賭けるものが必要だと言い出したのはケイのほう。でも彼の懐事情を考えればお金を賭けるわけにもいかず、かと言ってなんの一発芸を持ち合わせていない私達は、互いに賭けるものを考えることにした。
私が勝ったら『書斎という名のカオス』の掃除、なんて肉体労働を狙っていたのだけれど、ケイは『美湖さんの秘密を教えて』と妙にはにかんだ笑みを見せた。
秘密って……。
秘密もなにも、眠れないからと可愛い年下の子の弱みに付け込んで抱き枕にするような、そんな情けない女の何が知りたいと言うんだろう。
知り合った経緯を考えれば、知らないことが多くて当然なのだ。そう思ったら、返事をする気になれなかった。
無言の私に、ケイは『美湖さんて、やっぱり秘密主義?』と、軽い調子で冷やかした。『いや、別に』『じゃ、いいじゃん』と、何度かの不毛なやりとりが続いた後で。ケイは『負けるのが怖いんだ?』と先ほどまでとはまったく違う、不遜な笑みを浮かべる。
そんな押しの強いケイがあまりにも珍しく、私は目をテンにした。
結局、妙なテンションに根負けして、彼の口車にのっかってしまった私だった。
真剣勝負には真剣に賭けるものが必要だと言い出したのはケイのほう。でも彼の懐事情を考えればお金を賭けるわけにもいかず、かと言ってなんの一発芸を持ち合わせていない私達は、互いに賭けるものを考えることにした。
私が勝ったら『書斎という名のカオス』の掃除、なんて肉体労働を狙っていたのだけれど、ケイは『美湖さんの秘密を教えて』と妙にはにかんだ笑みを見せた。
秘密って……。
秘密もなにも、眠れないからと可愛い年下の子の弱みに付け込んで抱き枕にするような、そんな情けない女の何が知りたいと言うんだろう。
知り合った経緯を考えれば、知らないことが多くて当然なのだ。そう思ったら、返事をする気になれなかった。
無言の私に、ケイは『美湖さんて、やっぱり秘密主義?』と、軽い調子で冷やかした。『いや、別に』『じゃ、いいじゃん』と、何度かの不毛なやりとりが続いた後で。ケイは『負けるのが怖いんだ?』と先ほどまでとはまったく違う、不遜な笑みを浮かべる。
そんな押しの強いケイがあまりにも珍しく、私は目をテンにした。
結局、妙なテンションに根負けして、彼の口車にのっかってしまった私だった。