眠れぬ夜をあなたと
上手な客のさばきかたをレクチャーされる前に、客とホストの関係を理解できなくなった勘違い女達がいさかいを起こすわ、出待ちのプチストーカーが出没するわ、トラブルに見舞われた。

後に聞いたところでは、ケイのせいで新規客がまわって来なくなったと妬む一部の下層ホストが、面白がって影で客を煽るっていたのも一因だったようだ。

妬みや辛みってヤツは、人を狂わせるから恐ろしい。

ただケイにとって幸か不幸か、普段ならば店の秩序を乱すような面倒な雇用は嫌う叔父までも、ケイの人柄を好んだひとりだった。珍しく私なんかにまでに相談を持ち掛けて来たりして、どういうわけか彼を手放したくないと言う。

『苦学生のプライドを傷つけることなく、援助してやりたい』なんて、叔父にしては随分入れ込んだものだ。

物事に頓着しない叔父にしては珍しい。……ああ。でも、案外彼らしいのか。

かくいう私も叔父のお世話になっている。

私の自立を手助けてくれたのは他の誰でもない、この懐の深い叔父だっだのだから。



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