拝啓
『宗ちゃん。ご飯作るから待っててね。』
父は目線を外さす『うん。』と答えただけだった。
私は父を名前で呼んでいる。父とは血が繋がって無いから。
母は再婚で私は母の連れ子で、父は初婚だった。
宗ちゃんは私に無理に《お父さん》と呼ばなくて良い。と決して無理強いはしなかったし、私はきっと世間一般の父子関係より、仲が良かった。
父…。宗ちゃんも自然に接してくれて大好きな父だ。
夕飯の支度をしながらずっと考えていた。
確かに、母も父と再婚する位だから、父を愛していたと思う。
なのに、他の人を忘れられないほど愛し続けた。
母は何故そんなにも深く愛している人が居るのに、父と再婚したのだろう?
そんなに好きなら、その人の所に行けば良いのに、何故行かなかったのだろう?
父が可哀想だ。私は心の中から何とも言えない怒りとか憎しみとか母を汚いと思うような気持ちが芽生えていた。
そして、母がどんな人生を歩んでいたのか無性に知りたくなった。