拝啓
母の遺品整理を少しずつしていた。
母は本も好きだったし、映画も好きだった。
音楽も好きだったので、それらが詰まった部屋があったくらいだった。
趣味も多才でソツなく何でも出来る人だった。
本当に知れば知るほど不思議な人だと思い知る。
母の宝箱も何ヵ所もあった。
まるで宝探しのように私はその箱を探し回った。
ある箱には小学校の時の年賀状だったり、祖父、つまり母の父親が母に読ませた小説だった。
母は読書を好きになったきっかけの本は祖父から貰った小説だったと聞いていた。
何度も読み返していたんだろう、ボロボロになっていた本が大切にしまわれていた。
母の祖父、私の曾祖父から母宛に送られた手紙も入っていた。
読んでみると、母がバイク事故を起こした後に書かれたものらしかった。
母はどんな思いでこの手紙を読んだのかな…?
母は好きなものしか手元に置かない人だったから、残された物達は母が大切にしていた物ばかりだ。
だから、簡単に捨てれないものだった。
その宝箱達の中に必ず入っていたのは、母が冬也さんに宛てた送ることの無い手紙が入っていた。
必ず書かれていた言葉は、【元気ですか?幸せですか?】だった。
母の持っていた携帯は私が管理していた。
母は宗ちゃんの知らないブログを何年も書き綴っていた。
宗ちゃんはネットとかあまり興味が無かったので、母は教えていなかった。
私も書いていることは知っていたが、気にも留めなかった。
そのブログを開くと、やはり端々に冬也さんと思われる人物の事が書かれていた。