拝啓
冬也は夕焼けの中車を走らせていた。
人気の無い場所に車を停めて華澄から受け取った彩佳からの手紙を取り出した。
暫く手紙を眺めていたが封を開けて手紙を読んだ。
冬也は車に射し込む夕陽に顔を向けて
『彩佳…。』とだけ呟くと手紙をしまい再び車を走らせた。
その瞳に夕陽が光っていた。
冬也が家に着くと明るい声が聞こえてきた。
『お帰りお父さん!今夜のご飯何?』
冬也は優しく答えた。
『オムライスだよ。』
小さな女の子は喜びながら部屋に向かった。
冬也は女の子の後ろ姿を眺めながら家の扉を閉めた。