拝啓
彩佳が永遠の眠りについた日。真夜中過ぎ、葬儀場の扉が静かに開き一人の男が入ってきた。
彩佳が眠る場所に来ると、男が居眠りをしていた。
その横を静かに通り過ぎ、お棺の中に眠る彩佳の顔を見つめる冬也の姿があった。
冬也は暫く彩佳の寝顔を見つめそしてポケットから何かを取り出し彩佳の右手の小指にはめた。
銀の指輪だった。
そして、式場から立ち去った。
車の明かりが冬也の右手の小指に光る銀の指輪に反射した。