拝啓
エピローグ 華澄


華澄はとある駅に立っていた。
そして母が話してくれたビリヤード場の場所に行くと、そこにはビリヤード場は無く、飲食店に変わっていた。
華澄は駅の周辺や母が華澄に話して聞かせた冬也の住む駅を歩いていた。


町並みは母が降り立った時より様変わりしていた。


母が行きたがっていた場所。
焦がれていた場所。


母はどんな気持ちでこの駅の町並みを車窓から見つめていたのだろう?
この駅にどんなに降りたかっただろ…。
母の高校生の頃の写真を取り出し微笑む母の写真に語りかけた。


『ママ…。駅に降り立ったよ。ずっと来たかった所だよ。ママ。この町の懐かしい香りだよ。』


その時風が吹き写真を空高く舞い揚げ風に乗って写真は飛んでいってしまった。


華澄は飛ばされた写真が見えなくなるまでその場に立っていた。


写真は舞い上がりながら夕陽の方角に飛んでいった…。






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