拝啓
華澄から手渡された彩佳からの最期の手紙にはたった一言、またね。と書かれていた。
冬は沈む夕陽を見つめて一筋涙が頬を流れた。
またね。
たった一言だけ…。
その一言に彩佳の全てが込められていた。
彩佳と過ごした日々。
走馬灯の様に通り過ぎていった。
帰るべき所へ帰ろう。
それが彩佳の願いであり、そうする事が彩佳の望みだった。
『冬の笑った顔が好き。』
彩佳が言っていた言葉が聞こえた。
冬也は車のエンジンをかけ、帰るべき所へ帰って行った。
夕陽が沈み、夜になり又朝日が登る。
明日がまた訪れる。