拝啓
玄関に立って部屋を見ると、何処か荒んだ感じで、物が散らばり灰皿は煙草の吸い殻が今にも溢れそうになっていた。
台所の流しの中に汚れた食器が山になっていた。
『適当に上がって。』そう言うと智恵美は小さな台所に置いてあるテーブルの椅子に座ると煙草に火を着けて少し上を向いて煙を吐き出した。
私は静かに『お邪魔します。』と言って上がり智恵美の向かいに座った。
智恵美は煙草を吸いながら私の顔を見て言った。
『顔立ちは彩佳に似てるけど、肌の色は元旦那に似てるじゃん。』
私は驚いて、声が出なかった。この人は私の実の父親も知っている人だったのだ。
私は実の父が大嫌いで、私の父は宗ちゃんだと断言しているし、会いたくもない人だった。
出来るだけ、冷静にそして平静を装い智恵美さんに言った。
『母はどんな人だったのでしょうか?』
智恵美は煙草の煙を眺めながら言った。
『そんな事聞いてどうするの?』
『お願いします。後、冬也さんを御存じでしょうか?』
私が言い終わる前に智恵美さんは上を向いて大きな笑い声を出した。
私は少し不愉快になった。何故この人はこんなにも可笑しそうに笑えるのだろうか?
智恵美は暫く笑っていたが、急に静かになった。その顔から涙が流れていた。
私は黙っていた。
智恵美さんにかける言葉が見つからなかったからだ。
智恵美は新しい煙草に火を着けて言った。
『アタシね。冬也の元カノだったんだよ。』
私は目を丸くしたまま黙っていた。
台所の流しの中に汚れた食器が山になっていた。
『適当に上がって。』そう言うと智恵美は小さな台所に置いてあるテーブルの椅子に座ると煙草に火を着けて少し上を向いて煙を吐き出した。
私は静かに『お邪魔します。』と言って上がり智恵美の向かいに座った。
智恵美は煙草を吸いながら私の顔を見て言った。
『顔立ちは彩佳に似てるけど、肌の色は元旦那に似てるじゃん。』
私は驚いて、声が出なかった。この人は私の実の父親も知っている人だったのだ。
私は実の父が大嫌いで、私の父は宗ちゃんだと断言しているし、会いたくもない人だった。
出来るだけ、冷静にそして平静を装い智恵美さんに言った。
『母はどんな人だったのでしょうか?』
智恵美は煙草の煙を眺めながら言った。
『そんな事聞いてどうするの?』
『お願いします。後、冬也さんを御存じでしょうか?』
私が言い終わる前に智恵美さんは上を向いて大きな笑い声を出した。
私は少し不愉快になった。何故この人はこんなにも可笑しそうに笑えるのだろうか?
智恵美は暫く笑っていたが、急に静かになった。その顔から涙が流れていた。
私は黙っていた。
智恵美さんにかける言葉が見つからなかったからだ。
智恵美は新しい煙草に火を着けて言った。
『アタシね。冬也の元カノだったんだよ。』
私は目を丸くしたまま黙っていた。