みんなの冷蔵庫(仮)2
「ちよみ、でいいよ」


野崎さんはそう言うと玄関のロックを解除しだした。


「ちよみ、いってらっしゃい。また……後でね」


野崎さんは振り返り、猫のようにきゅっと目尻の引き締まった瞳を、三日月みたいにして微笑んだ。


「うん。また後で」


静かに閉まったドアをまだぼんやりみていると、食堂のドアが開き、シグマが顔を出した。


「なんだくららちゃん起きてたの。また起こしてあげようと思ったのに」


よく見るとシグマの手にはまたおたまと鍋が握られている。

またあれで起こしにくるつもりだったのか……
起きてて良かった。




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