みんなの冷蔵庫(仮)2
私のイライラした言い方のせいか、少し戸惑うように京極のまぶたがわずかにピクンと動く。

でも、何も言わずにちょっと間を置き、話しだした。


「いろいろ調べたら、一月程前トキオの前に突然上客が現れ、初日からかなりの金額を店に落とし、それから週2~3回来るようになったそうだ。その客のお陰で下っ端だったトキオがナンバー3になれる程に」


そこまで話すと、京極は大きなため息をついた。

少しだけ顔に苛立ちが浮かんでいる気がする。


「で、今から行くのがその突然現れた上客のところ」


京極らしからぬ、少し乱暴な口調。

トキオて人の話になって、急に京極の中で湧き上がる憤りを感じる。

でも私は「それ」に気付かないフリをした。なんと言っていいか分からないから。

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