みんなの冷蔵庫(仮)2
「八千草重雄て人の事聞きたいって」


俺がそう言うと、眉根を思いきり寄せ、いつも冷たく尖った光を放つ瞳を伏せ、長い睫毛を震わせると、乾いた唇をぎりぎりと噛んだ。

血が滲むほどに。


「シオくん?」


押し黙ったままのシオくんの顔を覗き込んで声を掛けると、追い払うように片手で強く突き飛ばされた。

床に仰向けに転がり、押された胸が痛くて咳き込む俺をうるさそうに見下ろし、シオくんはベッドから出て立ち上がった。




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