みんなの冷蔵庫(仮)2
シオくんがこんなに驚いた顔をしたところを。


動かないシオくんに声を掛けようかどうしようか考える間もなく、こちらを向いて座っていたリューマンが気付いて眉を寄せた。

目を凝らしてじっと見つめてくる。

俺ではなく、シオくんを。


「あ、シオくん。あのね、重雄くんのことちょっと聞きたくて」


リューマンの視線が釘付けになっているのに気付いた園長先生が振り返り、そう言いながら近付いてきて、すぐ横のドアを開け、俺達に中に入るよう促した。

シオくんは園長先生には見向きもせず、リューマンとずっと見つめ合い、ちっとも動こうとはしない。

リューマンがすっと立ち上がり、近付いてきた。

廊下と食堂を区切るガラス一枚が、こんなにも無意味だなんてと感じるくらい、二人は障害物などないかのように、お互い目をそらさない。



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