みんなの冷蔵庫(仮)2
「ちよみは俺のものだと思っていたんだが」


白くて冷たくて雪女みたいな金髪の男は、どういう感情でいるのか全く読み取れない目をキョンキョンに向けた。

口調も平淡で、怒っているとは思えない。
かといって楽しそうでもない。


はっきり言って、シオくんと金髪男も含め、この場にいるみんなの戦意は喪失していた。

でも、仲間ではなく、戦うべき相手だということがハッキリと分かっている以上、お互いの感情はぶつかるしかなくなる。


「違う。うちの使用人だ」


キョンキョンが睨んでそう言うと、金髪の男は睨み返すこともなく、穏やかに微笑みを浮かべた。
そしてその顔を野崎さんにも向ける。


「いいよ、ちよみ。選んだらいい。どっちでもいい。ただ、ここで離れたら俺達もう二度と会えないかもしれないね」


それはまるで呪文を唱えるかのような響きで。

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